2020/06/02
前記事の続きです。
10年以上のローンはだめですを読めば読むほど、腹が立つくらいつじつまが合わないので、つつきます。
頭金貯めてる間の家賃についてメインで書いていきます。
3000万円の住宅を購入。金利は2%。35年の住宅ローンは利子総額が1200万円だからだめで、10年以内のローンで買えるようになってからなら住宅購入してOK。
この仮説が正しいかどうか、深堀りしていきましょう。
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前提
まず、この人は3000万円の住宅を金利2%の35年ローンで買うことを前提としています。
記事が2009年11月のものでしたけど、当2010年初め時点で変動金利の店頭表示金利は2.475%。優遇金利がついて0.975%がメガバンクの最低実効金利でした。
にもかかわらず2%ということは、固定金利で考えているということ。長期の金利上昇リスクを見越して固定金利を選択しているわけですね。なるほど。
この時代の前提として、2009年の11月の時点で、金利は2%として考えていきましょう。
3000万円の住宅を、金利2%の35年ローンで購入する場合と、頭金をためて金利2%の10年ローンで購入する場合で見ていきましょう。
利子はいくらか
3000万円を金利2%35年の住宅ローンで借り入れると、返済総額は約4200万円。つまり、利子だけで35年間で1200万円払うということになります。それがもったいないと主張している。確かに利子だけで1200万円てバカにならないですね。
では毎月のローン支払い額を見ましょう。3000万円を年利2%35年で組むと、毎月の返済は99,378円。約10万円です。
ですから、住居費に毎月10万円かけるという前提ですね。
それを35年ではなく、10年ローンで返せるようになってから組めということを主張しています。
毎月返済10万円の年利2%10年ローンだと、借入額は1080万円。
つまり、3000万円物件を、年利2%35年の住宅ローンで3000万円借り入れて購入するのではなく、
3000万円の物件を、1920万円頭金を入れて、年利2%10年の住宅ローンで1080万円借り入れて購入すべきだ、と言っています。
たしかに3000万円が売値の物件を1920万円の頭金を入れて購入すれば、1080万円のローンを抱えていても新築プレミアムが2~3割剥がれ落ちたところでオーバーローンになるリスクはほぼ無いでしょう。
ただ、問題なのは頭金の1920万円をどこからどうやって持ってくるか、です。
頭金はどうやって貯めるのか
結局のところ、本来なら3000万円を35年借り入れで購入する時期に、それをしないで貯金をしていくということですから、毎月8万円で年間100万円、それを19年続ければ1900万円の貯金はできます。住宅購入を検討するということは結婚して子供がいることが主ですから、そんな中で毎月8万円の貯金をすること自体がアンビリーバブルな話ですが、まぁ夫婦そろって倹約家であり、子供も優秀で公立から国立に行ったとしましょうか。
甘く見積もって、毎月8万円で年間100万円、それを19年続けて1900万円の頭金を作ったとしましょう。
頭金を貯めてる間の家賃はどうするのか
さて、19年間毎月8万円貯め続けて頭金を貯めますが、野宿というわけにはいきません。どこかに住まないといけないでしょう。ということは賃貸に住むことになりますが、大体家賃と住宅ローンは同じような数字になります。住宅ローンの毎月返済額を10万円と設定していましたから、少なめに見て月額8万円、大目に見て12万円が家賃です。
頭金の1900万円を貯めるためには19年かかりますから、19年間家賃を払い続けて賃貸に住むということになります。
8万円なら19年間で1900万円の家賃を、12万円なら2850万円を家賃として払い続けたということになります。
甘く見積もって月額8万円の家賃を19年間払い続けて1900万円支払ったことにしましょう。
利子の差はいくらか
その後、1920万円の貯金を頭金にして、3000万円の住宅を購入し、1080万円の年利2%住宅ローンを10年で組みます。
すると毎月の返済額は10万円。10年間の支払総額は11,924,943円。利子総額は1,124,943円です。
お!利子総額が35年の場合だと1200万円だったが、10年の場合だと112万円だ!差額は1100万円だ!!1100万円もお得じゃないか!!ってバカかて。
確かに利子だけ見れば1100万円の差が出ていますけれど、頭金を貯めている19年の間に家賃を1900万円~2850万円払っているんですよ。
1200万円の利子を銀行に支払うことは非難するのに、1900万円の家賃を払うことはOKというのはおかしくないですか?
2つのシミュレーション
時は2009年。もちどらさんとち○りんさんの2つの家庭があります。
どちらも33歳。妻と子供がいます。
もちどらさんは2009年33歳の時に3000万円の住宅を、金利2%の35年ローンで購入しました。
ち○りんさんは19年かけて1900万円貯めて、2028年52歳の時にそれを頭金にし3000万円の住宅を金利2%の10年ローンで購入しました。
それぞれ68歳になりました。
もちどらさんの住宅関連費は3000万円の本体代+1200万円の利子の計4200万円かかりました。(築35年ローンなし。売ったら土地代の1500万円の価値)
ち○りんさんの住宅関連費は家賃1900万円+3000万円の本体代+110万円の利子の計5010万円かかりました。(築10年ローンなし。売ったら土地+建物の1500万円~2000万円の価値)
ってね。
お気づきでしょうけれども、ち○りんさんのシミュレーションは毎月8万円貯金できること、家賃は8万円であることという2つの点でかなり甘く見積もった数字で出しています。実際はもっと厳しいでしょう。
さらに今はシミュレーションの2%ではなく、変動金利なら0.625%です。フラット35の35年固定金利でも1.2%です。変動0.625%で計算するともちどらさんの利子は1200万円ではなく340万円であり、ち○りんさんの利子は34万円です。より差が開きます。
まとめ
なにが言いたいかというと、35年ローン怖いどころか、賢く使えばむしろ素晴らしい結果を生むということです。
オーバーローンを避けるために頭金は2割程度あることが望ましいですが、それ以上貯めるために家賃を払い続けるならば、買ってしまったほうがいいですよ。
新築物件購入も仲介物件購入も、天下の住友不動産販売株式会社なら失敗は少ないでしょう。
もちろん、35年ローンでね。
コメント
[…] 頭金貯めてる間の家賃がもったいない。2割貯めたら買ってしまえ。 […]
by 後悔しない住宅ローン。どのように組むべきか。不動産屋の本音 – もちどらどっとこむ 2017年5月10日 6:51 AM